ギターマガジン300号記念オリジナルギターを弊社が製作する事になりました。詳しくはギターマガジン2003年4月号から3ヶ月にわたって誌面でご覧になれますが、誌面ではお伝えできないもう少し細かい部分をここではお伝えしていきたいと思います。

第一回 見積り〜オーダーまでの流れ
(ギターマガジン誌 2003年4月号掲載)


何はともあれ、まずはどのようなギターを作りたいのかはっきりさせなくてはいけません。今回のギターマガジン300号記念ギターではまず下記のようなイメージイラストを頂きました。ここまできっちりした物でなくても全然大丈夫ですが、ここまでアイディアが固まっている方が作り手に完成した時のイメージが伝わりやすくなります。全てはここから始まるのです。


このイメージを元にCAD(Computer Aided Design、コンピュータ支援設計)によりバランスを見ながら修正を加え下記のような正確な図面に起こします。この段階で正確な数値で描かれますので、全体のバランスが見やすくなります。もちろんこの図面を見てチェックしていただき、OKでしたら製作に突入です。




使う材でその楽器の音が80%決まると言われています。あらかじめ使う材料が決定しているのであれば、その材料で最高のものを選び出し使う事が出来ます。また、漠然と「こんな音が欲しい」と言うリクエストにも経験豊富なスタッフがどのような材を使えば良いのかアドバイスしてくれます。誌面では名前でしか登場しなかった木材を写真と簡単な解説で紹介いたしましょう。

Korina
正式名称はLimba(リンバ)と言います。Korinaと言う名称はアメリカの木材市場での呼び名です。白色〜黄白色の癖の無い木目が特徴の材です。
音色はマホガニー系に近いと言われていますが、こちらの方が若干高音域に特徴があるようです。 今回のギターにはトップ材として使用しました。
Koa
最高級のハワイアンコアは現在、自生地のハワイからの輸出制限があるために市場に出回る事が少ない希少材の一つです。ウクレレなどに使用されているので目にされている方も多いのではないでしょうか。音色的には腰のある独特の中高音域が特徴です。見た目も茶褐色の中庸な木肌で、中には杢(フレイム)が現れる物も存在します。美しい見た目も相まって根強いファンが多い材です。 今回はこのハワイアンコアのフレイムが現れている物を贅沢にバック材として使用しました。
Pau Ferro
別名モラード、ボリビアンローズウッドと言われる非常に密度の高い硬質な材です。その硬度はエボニーにも匹敵するほどで、一時期は代用材として使用されていました。ローズウッドほどメロウではなく、かといってエボニーほどエッジが目立たない、ちょうど中間の音色が得られます。近年、注目されるようになった材の一つです。 今回は指板材として使用しました。


Hard Maple 3Piece Neck Materials
ハードメイプルはネック材に使われる木材の一つです。硬く、剛性も強いので、ネック材には非常に向いています。今回のネック材には3枚貼り合わせたハードメイプル材を使用します。3枚貼り合わせる事により、ネックに生じるよじれや反りを極力防ぐ事ができます。ネックは弦楽器の命ですから妥協は一切許されないのです。もちろんこのネック材はESPのレギュラーラインナップモデルにも採用されています。
Fret #214H
今回はセットネック構造で、しかもハイフレットのプレイビリアティを確保する為にヒールレス加工を施す事に決定。詳細は次回に。
また、このギターは読者プレゼントとなるので、ネックグリップはオーソドックスなUシェイプに、フレットは#214Hに決定しました。



Seymour Duncan SH-1['59 Model] & SH-5[Custom]
ピックアップにはSeymour Duncan社のSH-1['59 Model]とSH-5[Custom]を使用する事になりました。フロントポジションに使われるSH-1はSeymour Duncanの中で最もオーソドックスな、いわゆるハムバッカーの王道である1959年のP.A.Fを忠実に再現したピックアップで、オールマイティーに使えるピックアップです。ブリッジポジションにはSH-5を。SH-5はSH-1を基本としながらも、コイルターン数、マグネットなどを変更し、よりパワフルに再設計されたモデルで、独特の中音域に特徴があります。



FISHMAN POWER BRIDGE
Tune-O-Matic Type 今回のブリッジにはピエゾピックアップを内蔵したFISHMAN製のPOWER BRIDGEを搭載する事に決定。各駒ごとにピエゾ端子が装備されている優れものです。

次回はいよいよ木工加工に突入です