エレキギターにとってPICK UPとは、「心臓部」と入っても過言ではないほどサウンドを決定づける重要なファクターのひとつである。ECLIPSEに搭載された数々のPICK UPの歴史は、SUGIZOが追い求めた「理想の音」を物語る偉大な足跡に他ならない。そして、その旅はこれからも終わることなく続く、、、
■EMG
ECLIPSEのプロトタイプが出来た1994年から1995年にかけては、PR-IIIから好んで使用していたEMG-SAを搭載。
EMG-SAはロー・ノイズで歯切れが良く、ハイからローまでのレンジの広さと、音の輪郭がはっきりとしたHi-Fi Soundが特徴のピックアップだ。

1995年、初の東京ドーム公演"LUNATIC TOKYO"の際には、EMG-SAよりもヴィンテージ・トーンに近く、各弦の音の分離がよいEMG-SVが搭載された。

■LASE SENSEOR
1996年の"UN ENDING STYLE"TOURから、1997年のSUGIZOソロ・プロジェクトにおけるイベント"ABSTRACT DAY"までは、パッシヴタイプのLASE SENSORピックアップに、ミッドブースト・サーキットを搭載する形になる。この時のLASE SENSORはリアにBlue Sensor、フロントとセンターにSilver Sensorが使用されていた。リア・ピックアップのBlue Sensorは、シングルコイル・ピックアップの中でもハムバッカー並みのパワーを持つピックアップで、この頃のS-Iが一番音が太く、ハイ・ゲインであった。

特にSUGIZOは、Blue Sensorの初期に作られていたタイプの音が好きだったため、現在アメリカでLASE SENSORを生産しているAGI社に、ヴィンテージ仕様のLASE BLUEを特注し、これをS-Iに搭載していた。このヴィンテージLASE BLUEは、1997年に発売されたSignatureモデル ECLIPSE S-I -BRILLIANT MIXEDMEDIA-にも同じものが搭載されている。

■Seymour Duncan
1998年の"SHINING BRIGHTLY"TOURから1999年5月の"NEVER SOLDPUT(CAPACITY∞)"までは、Seymour Duncanのヴィンテージ・ジャガーピックアップ、SJAG-1が搭載され、コントロールもシンプルなパッシヴサーキットとなる。ジャガーピックアップは他のピックアップに比べて、ハイエンドの倍音が多い個性的なサウンドが特徴である。そのため、この時期のECLIPSEはもっともサウンド・コントロールが難しく、弾き手にとってはじゃじゃ馬を乗りこなすような挑戦をしいられるようなギターであった。

1999年12月、東京ドームの"The Millennium Eve"からは、Seymour Duncanのレリック仕様のラインナップであるANTYQUITY Strat Custom Bridgeに変わる。このピックアップは、ストラトキャスター用のピックアップの中ではハイゲインな部類に属するが、ローからハイまでのバランスがよく、きめが粗いエッジの効いた、独特のサウンドを持つシングルコイルピックアップである。ジャガー好きなSUGIZOとしては納得で入るチョイスである。ジャガーピックアップよりもハウリングに強く、エフェクターの乗りも良いので、歪みの音作りのしやすさは、LIVE GEARとしてのS-Iにふさわしいピックアップである。