The FLAREのリハーサル現場のDS-280-RV。今は1音下げチューニングでセッティングされている。弦のゲージは.011〜.052だ。ピックアップはLUNA SEA時代にはSeymour Duncan のビンテージストラト(SSL1)を使用していたが、現在はSeymour Duncan Antiqity2というピックアップに交換されている。Antiqity-2は2001年にSeymour Duncanから発売されたピックアップで、現在でもECLIPSE S-1に搭載されているAntiqity Strat Custom Bridgeにくらべて若干磁力が強く、高音域の出方に違いがある。

BODY:
Selected Alder
NECK:
Maple / Maple , 21Frets
SCALE:
25 1/2
JOINT:
Bolt-on
PICKUPS:
(2000-2005.2)Seymour Duncan SSL-1
(2005.3-)Seymour Duncan Antiquity-2
BRIDGE:
Vintage Type Synchronized Tremolo Bridge
CONTROL:
写真説明文を参照のこと


 SUGIZOの楽曲の完成度に対する情熱はすさまじいものがある。
レコーディングでメンバー全員がエネルギーを注ぎ込んで出来上がった楽曲を、LIVEでどれだけ忠実に再現できるか、LIVEのリスナーにどれだけ満足してもらえるか。そのためにリハーサル現場では連日連夜、アーティストと楽器スタッフの間で戦いが繰り広げられているのである。
2000年は忙しい年だった。5月に日本武道館で行われたPREMIERE of LUNACY 2000は、バンド史上例を見ない全曲を新曲で構成したLIVEで、こんな事が出来るバンドは後にも先にもLUNA SEAだけであろう。
このLIVEを終えて、メンバー達は決してやり遂げたことに満足していたわけではなく、この年のツアーに向けて、サウンドに対して完成度を上げるための次なるステップが始まったのである。

 2000年6月のリハーサルスタジオにて・・・・・
「VIRGIN MARY」はこの年のツアーメニューでも中盤の核になる大事な曲で、中でもSUGIZOのギターパートは曲全体のイメージを支配するほど重要なパートである。VIRGIN MARYでSUGIZOは、この曲の表現したいトーンにはどうしてもストラトキャスターが必要だと判断した。あと本番まで1ヶ月を切っていたこの時期に、すぐさま対策がとられた。そこで用意されたギターはSeymour Duncan DS-280M-RVであった。
 Seymour Duncanギターは当時からプロミュージシャンの間でも評判がよく、SUGIZOもすでにその存在は認めていた。しかしSUGIZOが選んだギターはレフティー(左利き用)のモデルである。SUGIZOはあえてレフティーのストラトに新しい付加価値を求めたのである。
レフティーのストラトキャスターで思い出されるのは、ギターを知る人なら、殆どの人がその存在を知るJIMI HENDRIXであろう。ご承知のとおりだがJIMI HENDRIXは左利きで右利き用のストラトを構え、ストラトの、いやエレキギターの、いやロックの概念を打ち破った人である。派手なパフォーマンスで有名なJIMI HENDRIXであるが、彼のストラトキャスターとマーシャルアンプを操り、打ち放たれるトーンこそ多くのギタリストが目指しているものでもある。SUGIZOもそんなJIMI HENDRIXを認める一人なのかも知れない。


レフティーのストラトは普通のストラトと微妙な違いがある。ボディーバランスも変わるが、リアピックアップの傾きが通常のものと逆になり、その結果、太い弦の響きはローが損なわれるものの、よりタイトになり、細い弦のトーンはマイルドでスムースなトーンになる。このトーンをSUGIZOはVIRGIN MARYに結びつけたのである。
 DS-280M-RVはBLACKと2TONE SUNBURSTの2本が用意されたが、写真で紹介するのは、そのうちのメインで使用されていたBLACKの方である。
2000年7月15日「CONCERT TOUR 2000 BRAND NEW CHAOS」は横浜アリーナからスタートした。初日のステージからDS-280M-RVは「VIRGIN MARY」「CRAZY ABOUT YOU」でその艶やかなトーンを会場中に鳴り響かせていた。
そして「THE FINAL ACT TOKYO DOME」では12月26日の「RAIN」と12月27日の「VIRGIN MARY」で使用されていた。
そして現在のTHE FLAREの活動においてもしっかりとSUGIZOの楽曲をサポートし続けているのである。

ヘッドは1960年代後半のストラトキャスターに使われていたラージヘッドが採用されている。

ペグはクルーソンタイプのGOTOH製だが、LIVE中のチューニングの狂いを少なくすために、ロック式ペグが採用されている。またこのペグは、テンションの調整が出来るようになっている。上の写真をご覧頂くとおわかりいただけると思うが、ペグの裏側の穴から6角レンチでストリングポストの高さを可変することで弦のテンションを調整できるようになっている。リバースヘッドならではの弦のテンションの違いを克服するためだ。

■Seymour DuncanとSUGIZO
アメリカのSanta BarbaraにSeymour Duncanという有名なピックアップビルダーがいる。彼は1966年からリプレイスメント用のピックアップを作る仕事をはじめ、現在でも世界中のミュージシャンから彼の作るピックアップは絶大なる信頼を得ている。SUGIZOもSeymour Duncanピックアップとは馴染みが深く、LUNA SEA時代からECLIPSE に Antiqity Strat Custom Bridge、SJAG-1、SH-4(JB)、SP-90-1などを使用している。
元々カントリー系のミュージシャンだったSeymour Duncan氏もフェンダーギターを愛してやまない一人で、ストラトキャスターの魅力を充分知り尽している人である。
そんな彼が、かつてからの夢であったSeymour Duncanブランドのギターを発表したのは1980年代後半のことである。それは彼が日本のNavigatorギターの存在を知り、日本のギターメーカーESPと手を組んだことから始まる。
Seymour Duncan氏の細部までに渡るこだわりと、ESPがNavigatorを作り続けて蓄積してきた技術を融合させて出来上がったSeymour Duncan 製ストラトキャスターは、オリジナルストラトの良さを継承しつつ、一味違った名器を生み出し、これを世に送り出すことになる。
その後、Seymour Duncanギターは、2004年からラインナップ商品を一新して新たなスタートを切り、現在はベース3機種を発表している。そして今後、新たに世に送り出されるギターが注目されている。

※STRATOCASTERは米国FENDER社の登録商標です。
※現在Seymour Duncan DS-280M-RVは製造を行っておりません。

ストリングガイドは巻弦の摩擦に対応する為、ローラー式のものに交換されている。
シールド線はストレートプラグではなくL字プラグのものを使用している。一見変なように見えるが、演奏する際に右腕がプラグに当たるため、L字プラグの方がギー本体のジャックへの負担が少ない。スイッチはCRL3wayスイッチを使用し、ネックポジションからF - M - F+Rの順に切り替わるように配線されている。ボリューム・トーンノブは、ブリッジ側の通常ミドルPU用トーンが外され、ネック側からマスターボリューム、 F+Rミックス時のみ作動するフロントPU単独ボリュームであったが、これは最近マスタートーンに変更されている。