品名:ESP ECLIPSE S-II
通称:S-IIメイン
PRODUCE:SUGIZO T,Shinji Y,Tanaka (ESP)
製造:1998年7月
製作者:Wood Craft-K,Imano (ESP Craft House)
    Paint-O,Sekine (ESP Craft House)
    Build Up -Y,Tanaka (ESP)
    Customize -Y,Tanaka (ESP)


BODY:
Selected Alder
NECK:
Maple / Ebony , 24Frets
SCALE:
24 3/4
JOINT:
Set-neck
PICKUPS:
Seymour Duncan SCR-1n(COOL RAILS)
Seymour Duncan SH-4(JB)
BRIDGE:
Original Floyd Rose
CONTROL:
1Volume
3Way Pickup Selector, Direct sw



 ECLIPSEが大きな変化を遂げた1998年。この年、スルーネックだったECLIPSEはセットネックとなり、S -Iのピックアップはレースセンサーからジャガーピックアップへと変わっていった。ピックアップはEMG時代からくらべると、全てがパッシブタイ プのピックアップにチェンジされ、新しいECLIPSEたちのBODY裏からは次々とバッテリーザグリが消えていったのである。そしてこのS -IIも例外でなく、長年親しんできたEMGピックア ップとお別れすることになる。

ギタープレイヤーにとって、ピックアップの好みは、大きく分けるとシングルコイル系とハムバッキング系の2つに分けられる。SUGIZOは御承知のとおり、基本的にシングルコイル系のピックアップを好む。シングルコイルピックアップは、ピックアップの 種類によって、それぞれ強烈な個性を持っており、種類もさまざま、弾き手のニュアンスがリアルに伝わりやすいピックアップである。悪い言い方をすればピッキングのアラもそのまま出てしま うほどの繊細さがある。SUGIZOがピックアップをチョイスする場合、いくつかのパターンが見うけられる。一つはSUGIZO自身の中にあるサウンドイメージや曲のイメージを表現するのにぴったりのもの。もうひとつはピックアップのサウンドが逆に SUGIZOにインスパイアを与え、サウンドイメージを広げてくれるようなもの。ジャガーなどは後者に属するものと思われる。今回のS-IIの場合は具体的な曲のイメージもあり、SUGIZOがS-IIに求めるものは、ある程度マトが絞れていたので、ピックアップ選定も楽に決まると思えた。

アクティブのEMGから、パッシヴのSeymour Duncanに変更された。ピックアップはトーンを決定する重要な要素のひとつ。エレキギターの心臓部だ。

3年間に渡り、2回のツアーを渡り歩いてきた S-IIメインのボディー裏側。ライブでの登場回数は、S-Iなどと比べると 少ないS-IIだが、激しい曲調での出番が多いせいか、ボディー裏には、戦歴を物語るキズ 跡がたくさん残っている。

リハーサルスタジオではS-IIのピックアップ選定の最後のツメ が行われていた。フロントピックアップは、いくつかの候補の中からすでにSEYMOUR DUNCANの“Cool Rails”に決まっていた。問題はリアピックアップである。とりあえず、SEYMOUR DUNCANの“Distortion”と“JB”の2つに絞ら れたので、この2つのピックアップを、すでに本体が完成しているS-IIのメインとサブに1個づつ取付け、交互にアンプで鳴 らして決めることにした。2本のS-IIをとっかえ、ひっかえ弾いて、真剣にチェックをするSUGIZO。『う〜ん。どっちもい いなぁ。』周りでいっしょにチェックしていた我々スタッフも同感であった。このチェックには以外にも時間がかかり、結局 、周りの意見も取り入れながら、バンドアンサンブルでの音のバランスや、曲のイメージ的なことも考えて『JB』に決定した のである。そして新生S-IIは『IN FUTURE』をはじめ、翌年の『10TH ANNIVERSARY GIG [NEVER SOLD OUT] CAPACITY ∞ 』においては『1999』、『SHADE』でも使用されていた。記憶に新しい2000年のTOURでは、新曲の『INSIDE YOU』でもその活躍の場を広げたのである

Writer - Takashi Shinji

フロントピックアップのSEYMOUR DUNCAN SCR-1N 「Cool Rails」。シングルコイルサイズながら、ハムバッカー構造を持つピックアップ。同等機種に有名な 「Hot Rails」があるが、こちらの方がGAINが低く、シングルコイルピックアップに近いニュアンスを持っている。

“Distortion”と徹底比較したうえで、最終的にS-IIのリアピック アップにおさまった、SEYMOUR DUNCAN“JB”のアップ写真。 Distortionはハイからローまでのバランスが良く。JBはミッドレンジ が強調された感じで、歪み時のハーモニクスポイントのツボをうまく 押さえた感がある、どちらも良く出来たピックアップである。