品名:ESP ECLIPSE S-I
通称:S-Iストラト 〜 S-Iメイン
PRODUCE:SUGIZO T,TSuji (TEAM ACTIVE) T,Shinji (ESP)
製造:1998年6月
製作者:Wood Craft - K,Imano (ESP Craft House)

BODY:
Selected Alder
NECK:
Maple / Ebony , 24Frets
SCALE:
24 3/4
JOINT:
Set-neck
PICKUPS:
ANTIQUITY Strat Custom Bridge
BRIDGE:
Original Floyd Rose
CONTROL:
1Volume(Pull-Middle P.U. On)
3Way Pickup Selector, Direct sw



1997年のSUGIZOソロプロジェクトも終わり、その年の10月から、LUNA SEAのメンバー達はまた集結して、新しい曲作りに入った。
新曲の構想を練る中、当然来年のLIVEツアーに向けての戦略も着々と進む。そんなプリプロスタジオの中で、SUGIZOはSTYLEツアーで活躍したECLIPSEを膝に抱き、こう考えていた「もっとコイツらを進化させたい。そしてもっと鳴りを良くするにはどうすればい いんだろう?」。SUGIZOとテクニシャンの辻氏とESP担当者とでディスカッションは続く。そして何本かのプロトタイプを作ることになった。まずネックジョイントをスルーネックからセットネックに変えて、ピックアップも色々と試してみる。1本はジャガーのピックアップを付けたもの、もう1本はP-90を付けたもの、そしてもう1本はストラトキャスターのピックアップを付けたものを製作する事になった。
翌年になり、まず出来上がったのがジャガーピックアップとP-90の付いたECLIPSEで あった。予想以上に出来が良かったこの2本にSUGIZOは喜び、さっそくLIVEに向けての戦略に参加することになる。わって、1998年5月、都内にあるESPのスタジオの一室で、テクニシャンの辻氏とESP担当者は、山ほど集めたストラトキャスターのピックアップを、片っ端からECLIPSEのプロトタイプに付け替えては、MATCHLESS DC-30アンプで音を出して、『S-Iストラト』に載せるピックアップのテストをくり返していた。SUGIZOの音の好みを一番知っている辻氏にジャッジしてもらい、決定したのはSEYMOUR DUNCANの“ANTIQUITY Strat Custom Bridge”であった。そんなこともあって、他の2本に遅れをとったS-IストラトはやっとSUGIZOに試される日が来た。「いいじゃない!! コレ」とまずまずの評価をうけたS-Iストラトに、ホッと胸を撫で下ろしたのは辻氏とESP担当者だった。

このモデルは製作当初から、ストラトキャスター用のピックアップを載せるために作られたものなので、ピックアップザグリも、ストラトピックアップ用のタイトなザグリになっている。
弾きこまれてついにメインに昇格した。

1998年7月、いよいよ『SHINING BRIGHTLY』TOURのリハーサルは始まり、新しいECLIPSEたちの出番がやってきた。新曲を次々と仕上げてゆくメンバーたち。そのリハーサルスタジオのギタースタンドの上で、いつ出番が来るかとひたすら待ち続けるS-I ストラトに、とうとう最後まで出番は回ってこなかったのである。1ヶ月の長いリハーサルも終わり、長い旅にでる楽器たちを積み込む作業のとき、「一応、これも持っていくか」という結果になったS-I ストラトは、この年のツアーで一度もステージに上がることはなかったが、『楽屋ギター』と言われる役割りにまわることになる。
LIVE本番の日、SUGIZOはいつも楽屋でウォーミングアップを欠かさない。そんな指ならしで毎日弾きこまれてゆくS-Iストラトは、いつの日かSUGIZOの手になじんでゆき、楽器としても成長してゆくのであった。

1999年12月23日、東京ドームの『The Millennium Eve』、この日のステージのメインギターは、いつものジャガーピックアップのS-Iメインではなく、とうとうS-Iストラトが栄光のS-Iメインの座に君臨していた。実に製作されてから1年半後のことである。このときからECLIPSE S-Iのピックアップは正式にSEYMOUR DUNCAN“ANTIQUITY Strat Custom Bridge”に変わることになったのである。そしてS-Iストラトはこの日を境に、2000年の『BRAND NEW CHAOS』TOURをメインで活躍し、そして12月27日の『終幕』最終日も「Sweetest Coma Again」と「KISS」でその姿を披露している。

Writer - Takashi Shinji

ストラトキャスター用のピックアップは、ピックアップの台座がブリッジ方向に出っ張っているために、このままではECLIPSEに組み込めない。
そこで、上の画像のようにピックアップザグリの内側をすこし掘り込まなくてはならなかった。見えない所にもカスタマイズの苦労の跡がある。その後、SEYMOUR DUNCAN社に特注の ANTIQITY STRAT CUSTOM BRIDGEを作らせ、台座に出っ張りのないANTIQITYが出来たため、新しいECLIPSEや製品として販売されているECLIPSEには、ピックアップザグリの内側を削らずにすむようになった。