品名:ESP ECLIPSE S-I BRILLIANT -MIXEDMEDIA-
通称:S-I シルバー・メイン
PRODUCE:SUGIZO T,Tsuji (TEAM ACTIVE) T,Shinji (ESP)
製造:1998年5月
製作者:Wood Craft - K,Imano (ESP Craft House)
    Paint - O,Sekine (ESP Craft House)
    Aluminium Art - T,“pyong”Hirano
    Build Up - T,Shinji (ESP)
    Customize - T,Shinji Y,Tanaka (ESP)

BODY:
Selected Alder
NECK:
Maple / Ebony , 24Frets
SCALE:
24 3/4
JOINT:
Set-neck
PICKUPS:
Seymour Duncan ANTIQUITY
Strat Custom Bridge
BRIDGE:
Original Floyd Rose
CONTROL:
1Volume(Pull-Middle P.U. On)
3Way Pickup Selector , Direct sw


2000年の『BRAND NEW CHAOS』TOURでも記憶に新しい、SUGIZOの象徴ともいえるギター。ステージでシルバーに輝くこのギターは、S-I BRILLIANT -MIXEDMEDIA-としては4本目のもので、2001年の終幕でもROSIER , IN MY DREAM , Dejavu , JESUS , TIME IS DEADなどで使われていた。
 1998年、アルバム『SHINE』のレコーディング中にこのギターは製作されたが、この時は、ECLIPSEがスルーネックからセットネックに移り変わり、ピックアップがレースセンサーからジャガーピックアップに変更された頃である。じつはこのギターには隠れた歴史がある。このギターは当初、ジャガーピックアップ用 S-Iのプロトタイプとして製作され、とても鳴りが良く、SUGIZOお気に入りの1本であった。そしてこのギターは『SHINING BRIGHTLY』TOURで、黒いS-Iとしてメインギターで活躍していたギターなのである。下の写真でも分かるが、ピックアップザグリはジャガーピックアップ用の広めのザグリが施されている。1999年5月の10TH ANNIVERSARY GIG[NEVER SOLD OUT]CAPACITY ∞までS-Iメインとして活躍したこのギターは、その後、ストラトタイプのピックアップがメイン仕様になると、ライブでも使われることがなくなった。
 1999年12月23日の東京ドーム『The Millennium Eve』には、栄光のS-Iメインの座を他のS-Iに奪われ、その時からジャガーピックアップはストラトピックアップに交換され、ステージ上でもスポットライトを浴びることなく、舞台のソデでサブギターとして寂しい日々を送ることとなる。
 しかしこのギターの一生はこれで終わらなかった、、、

アルミニウムを使用したブリリアント加工。ステージでの存在感は圧倒的。
S -Iシルバー・メインのBODY裏側。銀ペンで書かれたサインはSUGIZOが??才の誕生日の記念に、自ら自分のギターにサインしたもの。

時は2000年6月、日本武道館の『PREMIERE of LUNACY 2000』も終わり、いよいよ『BRAND NEW CHAOS』TOURに突入するためのリハーサルに入っていたSUGIZOは、バンドのリハーサルだけではなく、新曲用の個人リハーサルも行うという、ハードなスケジュールの真っただ中にあった。
都内某スタジオはLUNA SEAの膨大な機材で埋め尽くされ、ライブで使われるギターやベース達もテクニシャンの調整を終え、セットアップされていた。しかし、このギターの姿はそこには無く、SUGIZOの個人練習用スタジオの片隅で、新曲の練習用として使われていたのだ。そんなある日、個人練習を終え、リハーサルスタジオに入ってきたSUGIZOは片手にこのギターを持っていた。そしてスタッフにこう言った。「やっぱり、このギターは音がいいよ。このギターをシルバーにして今度のツアーで使おう」。前々からリハーサルで使っていたS-Iシルバーの音に、今ひとつ満足していなかったSUGIZOは、このような決断を下した。そして後日、このギターはスタジオでブリリアント加工が施され、S-Iシルバーとしての第2の人生を送り始めることになる。晴れて、S-Iシルバー・メインとして戦列に参加したこのギターは、SUGIZOの期待を裏切ることなくツアーのメインとしての役目を果たしてきたが、大阪城ホールの初日の8月2日に事件は起きる。
     




ライブも終盤の『TIME IS DEAD』の真っ最中、突然弦が切れた。すかさずテックの辻氏がサブギターを持って、ステージ上でギターチェンジをするその瞬間、S-Iシルバー・メインがSUGIZOの後方に落ちた。普段投げられたぐらいでも、なかなか折れることのないECLIPSEのネックが、ヘッドが完全に外れる程の深い外傷を負った。ライブが終わり、このギターがイクイップメント・スタッフの手に渡った時には、ヘッドがネックから弦でぶらさがり、ネックからはトラスロッドがむき出しているという悲惨な状態だった。このギターは「終わった」と判断したスタッフは、ハードケースに十字架のテーピングをして、チューニングルームの片隅に安置し、ギターに黙礼をして現場を立ち去る。その夜、SUGIZOにたずさわる何人かの楽器スタッフが、SUGIZO本人から呼び出しを受けた。メインギターが壊れてしまった事にSUGIZOは非常に落胆しており、「なんとしてでもメインを直してほしい」と熱望するSUGIZOの熱意に、スタッフはメインを直す決意をする。その後ツアーを回りながら、メインギターの修理は慎重に行われ、その甲斐もあって、このギターは『BRAND NEW CHAOS ACTII』から再び戦列に復帰することとなったのである。    

Writer - Takashi Shinji

ボディサイドにも無数の傷跡が。。。

ピックアップザグリはジャガーピックアップ用に彫られたもの。フロントピックアップのすき間にはハウリング防止用のゴムが挟められている。
2000年のツアーを突っ走ってきたギター。ピックアップ周辺の黒いペイントは剥げ落ちて、ボディートップのアルミシートを削り捕った生々しい傷跡が、ライブの激しいピッキングを物語っている。

『SHINING BRIGHTLY』から『終幕』までを戦い抜いた痕跡が、深く刻まれているBODY裏。
ブリッジは、クロームパーツのORIGINAL FLOYD ROSE が搭載されている。

ぺグはクロームパーツのGOTOH SG36(現在の品番はSG360)を使用。ヘッド部だけは、ネックが折れた時のリペアーの為、傷もほとんど無く、妙にきれいだ。
FLOYD ROSE ブリッジの裏ザグリ部。御覧のようにスプリングを平行3本掛けにし、スプリングの共振を押さえる為、スポンジを挟んでいる。ブロックは37mmのミドルブロックが使われている。

コントロール部の裏パネルに穴が開いているのは、フロントとリアのピックアップをミックスで使用するときに、フロントピックアップのレベルをコントロールする為の、調整トリムを回す穴。
このギターに限らず、現場ではその都度、良い音の追求のためのカスタマイズが行われている。(この仕様は2002年11月現在のもので、その都度、仕様は変化している)